サスペンス映画やドラマなどで、液体が入っていない、すなわち空気注射して人間を殺してしまうというシーンを見ることがあります。この話は昔から言われ続けられていますが、実際のところはどうなのでしょうか。

今回の雑学では、本当に空気を注射すると人間は死んでしまうのかを調査してみました。

注射する場面を思い出してみると

医師や看護師が注射をする際には、まず投与する薬を注射器の中に吸い込みます。そして注射をする直前に、少しだけ液体をピュっと出しだり、指でカンカンと注射器を弾く行動を見たことがあると思います。これが注射器に残っている空気を抜く工程になるのです。

という事は、やはり空気は微塵たりとも入れてしまってはいけないのでしょうか。

空気注射による致死量

結果からいいますと、空気を注射することで人間は死んでしまいます。

しかしそれには致死量というものがあります。どんな薬であったとしても、用量を守らずに大量に飲み続ければ死が待っています。薬にはどれくらい飲めば死に至るかを表す致死量が決められています。薬局などで買えるような風邪薬ですと何百錠も飲んで、やっと致死量にたどり着く程ですが、処方箋から出される薬の中には数錠~数十錠で致死量に達してしまう薬も沢山あります。致死までいかなくとも、重度の副作用を引き起こす可能性もあります。ですので必ず用法用量はキチンと守りましょう。

空気もこれと同じで、人間にどれくらい空気を注射すれば死に至るのか、という致死量があります。

空気注射の致死量

これらの数値はもちろん人体実験によるものではありません。動物実験や医学にもとづいて導き出されている結果になります。

20mlがボーダーライン

一度に20mlの空気を注射することで、空気塞栓症が引き起こされる可能性があります。空気塞栓症とは読んで字のごとく、空気によって血管が塞がれてしまい、血液が流れなくなってしまう症状のことです。

空気が詰まることなく心臓に辿り着いたとしても、心臓内で空気は泡に変わり、心臓からの血流に障害を及ぼしてしまいます。

どの部位で空気塞栓症が発症したかにもよるようですが、基本的には空気が入ってしまった場合は頭を下げて足を高くする姿勢を取ることが望ましいようです。

最悪のケースは脳や心臓で発症してしまうこと。これらの臓器は一瞬でも血流が行われなくなると、機能障害が発生してしまうことがあります。

少量をゆっくり注射なら大丈夫?

ごく少量の空気を長い時間をかけて注射したとしても、100ml程に達するとショック症状を引き起こしてしまうと言われています。まとめてであろうが少しづつであろうが危険には変わりないということです。


しかし予防接種や点滴など、日常で注射をする機会があっても、20mlという量の空気が入ることはまずあり得ないと考えていただいて構いません。もしそうでないとしたら、よほど医学の知識がないヤブ医者か、あなたに殺意があるかのどちらかです。