同じ素材、同じサイズでも、首に巻けばスカーフに、頭に巻けばバンダナに、手や汗を拭くならばハンカチになります。そんなハンカチはどこのメーカーから販売されているものも、決まって正方形をしています。長方形のハンカチがあってもおかしくないように思えますが、これにはあるお偉いさんが関係していました。

ハンカチの歴史

日本では洋服が着られるようになった明治時代にハンカチが普及し始めましたが、その起源は紀元前3000年頃のエジプト文明の時代にまでさかのぼります。飾りの施された麻製の布が発掘されたことから、この当時の身分が高い人物の持ち物であるとされました。

ハンカチは現代にも受け継がれました。18世紀末のヨーロッパでは長方形は当然のこと、丸型や三角のハンカチなど、様々な種類のハンカチが存在し、刺しゅうや豪華な飾りを付けることが流行していました。しかし様々な種類があることをわずらわしく思ったのが、「パンがないならケーキを食べればいいじゃない」と発言したと言われる、かのマリー・アントワネットその人です。

1785年、マリー・アントワネットは夫であるルイ16世に「わが国のハンカチはすべて正方形にすべし」という法令を出させました。これ以降、世界中に広まったハンカチは全て正方形をしているのです。しかし一体なぜマリー・アントワネットが正方形以外のハンカチを毛嫌いしたのか、その理由は定かではありません。