小春日和(こはるびより)」という言葉を日常的に使用することはあまりありませんが、どこかしら日本語の美しさが感じ取れる言葉です。春のうららかな日差し、暖かい気候、そんな日を「今日は小春日和だね」という使い方をしている方を見かけますが、じつはこれは正しい使い方ではありません。

小春日和の本当の意味

文化庁の行った「国語に関する世論調査」の結果によると、およそ50%の方が「小春日和」の意味を「春先の暖かな天気」と間違えた回答をしています。本当の小春日和の意味とは「初冬の頃の穏やかで暖かい天気」のことを指す言葉なのです。夏の厳しい暑さが過ぎ、11月から12月上旬の、秋の終わりから冬の始まりにかけての穏やかな気候を、まるで春のようだと昔の人は考えたのです。

東京の旧称を江戸と呼びますが、埼玉県川越市などは小江戸と呼ばれます。もちろん川越市が江戸なわけではなく「江戸のような町」という意味で使われています。小春日和の「小」も同様で、「春のような」という意味が込められているのです。