じっと動かずに、どこか潤んだ瞳で寂しげに見つめてくる…。そんなウサギは昔から「寂しい死んでしまう」と言われています。本当にそんなことがあり得るのでしょうか。

この謎を、ウサギ生態を学ぶことで紐解いていきましょう。

ウサギの生態系を知る

現在ペットとして飼われているウサギは、野生のアナウサギをペットとして飼いやすいように品種改良が重ねられたウサギです。

アナウサギは、穴の中に巣を作って集団で群れを形成することから名付けられました。しかし、非常に縄張り意識の強いアナウサギは、同種のウサギに対しても敵意をむき出します。そのため、一般的に知られている他の動物の集団行動とは違い、1頭のオスに対して複数のメスという形態で群れを形成します。

この事から、確固たる群れを形成せずとも単独で生活は可能であり、品種改良も施されたこともあり、一匹で寂しいからといってどうにかなる事はなさそうです。

ウサギの目が孤独感を煽る

そもそもなぜウサギは人間に対して寂しそうと思わせてしまうのでしょうか。それはあの愛くるしい外見に加え、泣きくれたのではないかと思わせる充血ぎみの瞳にあるでしょう。

しかしウサギは色素が薄く、毛細血管が透けて見える動物です。瞳も充血しているわけではなく、毛細血管が透けて見えているだけに過ぎません。ちなみによく観察してみると耳の血管も透けて見えます。毛細血管が透けるほどまでに薄い色素を持つウサギは、耳を利用して体温を調節しています。


上記のことからウサギは寂しいと死んでしまうという俗説は間違いであるといえます。しかし、ストレスを感じやすい動物であることは間違いなく、そこから病気にかかることも珍しくはありません。また、半日以上食事を取らなくても病気になり、死に至るデリケートな生き物です。

おそらくはこの事から、寂しいと死んでしまうイメージが根付いたのではないでしょうか。