30cm程の大型のエビで、高級食材として扱われる「伊勢海老(イセエビ)」は、千葉県の房総半島以南から台湾までの西太平洋沿岸と、九州や朝鮮半島南部の沿岸に生息します。この生息域の中で、伊勢海老は暖かい場所を求めて移動を繰り返しています。そしてこの移動は、群れをなして一列になって歩いて移動するのです。

伊勢海老の行進

伊勢海老の移動は、近場に生息する数匹程度の個体がキレイな列を作って移動し、同じく列を作って移動していた他のグループと合体して長い列を作り、また行進を続けます。最終的には60匹程度の伊勢海老が一列になって、まるで軍隊のように行進をします。その移動距離も軍人並みで、1週間寝ずに50〜60kmもの距離を歩き通すのです。

列を作るこの生態は、サメやタコなどの外敵から身を守るための手段であるとされます。それでも移動中に外敵に襲われることは珍しくありません。その場合は、最後尾にいる伊勢海老が囮になって犠牲になることが多いとされます。