日本でも1994年に公開されたイギリスの映画監督であるデレク・ジャーマンが遺作として残した『BLUE(ブルー)』は、74分間の上映時間全てが、ただ青い画面だけが映し出されるといった他に類を見ない特殊な映画です。

ブルー

デレク・ジャーマンが創り出す映画は同性愛をテーマにしたものがいくつかあり、自身もゲイであることを公表しています。1986年にはHIVへの感染が判明し、その後1994年にエイズによってこの世を去りました。

遺作となった『BLUE』は、もちろん単に青い画面を投影しているだけはありません。青い映像と共に音楽と朗読が流れます。その内容は、自身の病気のことやエイズで他界した友人についてのことなど、デレク・ジャーマンの生涯が語られたものになっています。

この作品はデレク本人だけでなく、エイズによって命を奪われた人たちへ向けての鎮魂歌であるとされています。

この作品を製作しているときにはすでに、エイズの合併症によってデレクの目は見えなくなっていました。その中で、この作品を表現する色は青であると結論づけられ、画面は青一色に染まっているのです。