袋状になった油揚げを甘く煮て、その中に酢飯を詰めて作るいなり寿司。稲荷神社で祀られる狐様が油揚げが好物だということからその名が付けられました。

裏巻きいなり寿司の意味

油揚げには内側と外側、表と裏があります。普通はツルツルした茶色っぽい面の表面を外側にして酢飯を詰めますが、その裏表が逆転した、ザラザラとした白っぽい面を外側にしたいなり寿司があるのです。この裏巻きいなり寿司の元祖は、東京の六本木にある明治8年創業の老舗「おつな寿司」であるとされます。

六本木には近辺にテレビ局もあり、テレビ業界の差し入れとしてよく利用されるそうですが、その理由は「いなりの裏面を食う」というところから「裏番組を食う」という縁起担ぎとして捉えられています。

本来はそういう意味で作られたものではなく、大量のいなり寿司を作る際、表面を手に持つとツルツルと滑って酢飯が詰めにくいということで、皮を裏返して作ったのが始まりといいます。

現在では「裏を食って出世する」という意味合いから、テレビ業界だけではなく、広く縁起物として食べられるようになりました。