誰からも愛される定番のお菓子「ポテトチップス」ですが、その発祥はある料理店のシェフと客の意地の張り合いの末に生まれたものだったのです。

「フライド」ならぬ「プライド」をかけた戦い

1853年8月24日、ニューヨークのレストラン「ムーンレイクロッジ」のシェフであったジョージ・クラムのもとに、ある客が店を訪れます。その客とはアメリカの大富豪、コーネリアス・ヴァンダービルト氏。彼はフライドポテトを注文すると、「厚切り過ぎる」とシェフにクレームを付けました。

シェフは渋々薄くして提供するも、なお「まだ厚すぎる」と突っ返されたのです。この攻防が幾度も続き、うんざりしたシェフは、フォークで刺せないほど薄切りにし、カリカリに揚げたものを出して客を困らせようとしました。しかしこれが非常に美味しいと逆に評判になってしまったのです。

この料理はすぐにレストランのメニューに登場し、人気メニューとなりました。1900年代になるとアメリカでは多くのポテトチップス製造業者が誕生。現代でもなお人気が衰えることを知らないポテトチップスは、この二人のプライドなくしては誕生し得なかったのです。