食卓に必要不可欠なものと言えば、脇役でありながらも料理の味を大きく左右する「薬味」でしょう。昨今のブームである「ちょい足し」から、蕎麦やうどんに代表される薬味のオンパレードの食べ物まで、その用途は様々です。そもそもなぜ、この様なスパイス類に「薬(くすり)」といった字が使われているのでしょうか。

読んで字のごとく、薬として使用されていた

カップラーメンでは、乾燥ネギや調味料などが入った小袋に「かやく」と書いてあることがあります。かやくは漢字で「加薬」と書きます。やはり「薬(くすり)」という字があてられます。加薬と薬味は同義なのです。

例えば日本食で薬味がその物の味を左右するといっても過言ではないのが、蕎麦やうどんでしょう。ネギ、海苔、ワサビ、大根おろし、七味唐辛子など、そのバリエーションは豊かです。同じ麺類でいえばラーメンにも様々な薬味が使われています。ネギや海苔も当然使われますし、ニンニクやニラ、コショウなどのスパイス類も薬味として使われます。

ニンニクやニラが滋養強壮に効果があることは有名なように、薬味には元来、薬としての作用があると言われているのです。先述した薬味を例に、いくつか効能を見てみましょう。

  • ネギ – 内臓の働きを助け、血流を良くするため、冷え性の改善や強肝作用などの効果があります。
  • 海苔 – ビタミンA、カルシウム、鉄、ミネラルなどを多く含み、整腸作用、高血圧、脳卒中予防に効果があります。
  • ワサビ – 食欲増進、消化を助けます。代謝を良くする効果もあり、肥満防止や美容効果も期待できます。
  • コショウ – 辛さ成分の元である「ピペリン」は、防虫作用、抗菌作用、防腐作用を持ち、さらに血流の促進、代謝の上昇などの作用があります。

このように、和洋問わず薬味(スパイス)として使われている食材には体の調子を整えてくれる作用があるのです。