盛り塩は、塩をピラミッド型や円すい型に盛り、軒先や家の中に置く風習です。日本では奈良・平安時代には既にあったとされ、縁起担ぎや厄除け、魔除けの意味を持つとされます。よく和食の小料理店などの店先にキレイに盛られている印象がありますが、この盛り塩の由来は現在の意味とは違う目的で行われていたのです。

男を寄せ付ける魔性の盛り塩

盛り塩は中国の晋の時代、初代皇帝の司馬炎が起源という説が有力です。司馬炎は自分の後宮に入れるための女子を5000人も選出し、さらに呉を滅亡させた後には、呉の皇帝の後宮の5000人を自らの後宮に入れました。後宮とは皇帝や王などの后妃が住む場所のことです。

合計1万人もの宮女のいる後宮を、司馬炎は羊(牛という説もあり)に引かせた車に乗って回り、この車が止まった場所の女性のもとで一夜をともにしていたのです。一夜をともにする宮女は、もしかしたら自分が妃になれるかもしれないというチャンスを期待しているわけです。そこで宮女たちは、自分のところに皇帝を車を止まられようと知恵を絞ります。自室の前に羊(牛)が食べるように竹の葉を置き、好物の塩を盛っておいたです。これで自分の部屋に車が停まる確率がグッと高まります。

この故事が元となり、客寄せの意味で盛り塩が始まったといわれています。ちなみに1万人の女性全てを相手にしたわけではありません。中には世話係や女官もたくさんいました。それでも相当数を相手にしていたと推測はできます。