変わった病気は数あれど、踊り狂った挙げ句に死に至る現象は、最も奇妙な死因の一つではないでしょうか。この現象は「ダンシングマニア(別名:踊りのペスト)」と呼ばれ、疲れて動けなくなる、または死に至るまで踊り続けてしまうというものです。

踊りのペスト

この疫病が流行したのは中世ヨーロッパの時代になります。例えば1278年のドイツでは、約200人の集団が橋の上で踊り狂い、橋が破壊されるという事態に陥りました。最も被害の大きかったものでは、1518年に発生したもので、一人の女性が突然踊りだしたのをきっかけに、4日後には約30人、1ヶ月後には約400人の人々が踊りに参加し、疲労や衰弱、失神してもなお踊ることを止めなかったとされます。そしてその内の多くの人が心臓発作で亡くなってしまうという記録が残っています。

このダンシングマニアは一種の疫病による症状の一つと考えられていますが、貧困の時代であったことから、現実逃避として踊り狂ったという説や、祈祷の意味としてとする説、カルト宗教などが関係しているとしている説などもあり、なぜこのような疫病が流行ったのかという決定的な原因は究明できていません。