宇宙飛行士は無重力空間である宇宙から帰還すると、身長が5cmも高くなっているそうです。しかし重力がある地上に戻ってしばらくすると、伸びていた身長は元に戻ります。私たちの体にもこれと同じ原理が、日常生活で、それも毎日起きているのです。

朝と夜の身長差

実際に朝と夜で身長を測ってみると、子どもでは約1.3cm、大人では約1.8cm、重い荷物を運ぶような仕事をしている人はさらに大きく身長に差が生じることが分かります。これには人間の骨と骨の間にある椎間板が大きく関係しています。

椎間板はいわばクッションのようなもので、水分を含んだ軟骨でできた板状のものです。水を含んだスポンジを想像すると分かりやすいですが、水を吸ったスポンジは力が加わると潰れて薄くなります。これと同じ現象が椎間板にも起こります。つまり、夜に寝ている間は体は横になっているため重力がかからず、椎間板の厚さは大きくなりますが、体を起こしている日中に、重力によって椎間板に力が加わり、薄くなるのです。

椎間板は頸椎に7個、胸椎に12個、腰椎に5個もあるので、ひとつひとつの厚みは若干しか変わらないものの、それが集まれば1〜2cmも差が生じることになるのです。