宇宙は無重力空間であり、常に重力の影響を受けている地球上と比べると体の機能も忙しく変化します。そのうちの一つが血液に関係する体の変化です。

宇宙にいると血液が減る

人間の体は、その機能を一定に保とうとする「ホメオスタシス」と呼ばれる働きがあります。重力がない宇宙では、地球上にいる時と比べて血液が上半身にとどまりやすくなります。すると体は血液の量が多すぎると判断し、体全体の血液の量を減少させようとする働きを起こします。これが「宇宙貧血」と呼ばれる原因です。

長期間無重力状態で生活していた宇宙飛行士は、重力の存在する地球に帰還する前に、変化した体の状態を元に戻さなくてはなりません。少なくなった血液を元に戻すために、生理食塩水などの水分を、地球に帰還する数時間前に大量に摂取するのです。

日本人初の女性宇宙飛行士である向井千秋も、地球に帰還する前にグレープドリンクとレモネードをそれぞれ約453mlずつ、約1リットルもの水分を摂取して帰還しました。