輸血は救急時に生命を維持する上で非常に大切な救命処置として行われています。輸血をする際には拒絶反応が出ないように、血液型を合わせる必要があります。ただでさえ慎重を期して行われる輸血ですが、初めての輸血は人間の血ではなく、ヒツジの血が使われていました。

輸血の歴史

1616年、ハーベィが血液の体内循環論を発表すると、動物の血管の中にビールや尿など、あらゆる物質を注入する動物実験が始まりました。人間への輸血が初めて行われたのは、それから50年も後の1667年のことです。貧血と高熱の診断がなされた青年に対し、約225ミリリットルのヒツジの血を輸血しました。すると青年の症状は回復したといいます。これが人類への初めての輸血であると記録されています。

ヒツジの血を輸血したことに対しての拒絶反応は出ていたようですが、輸血量が少なかったために体が拒絶反応に耐えたと考えられています。

1800年代に入ると、人間同士の輸血が始まりますが、当時は血液の凝固を防ぐ方法が判明していなかったため、死亡事故が多くみられました。1900年代前半にはABO式血液型の発見、そして抗凝固剤の発見により、血液を保存する方法や拒絶反応に対しての研究が進歩していき、1930年代末に始まった第二次世界大戦では輸血により多くの命を救ったとされます。