古くから男性は(ひげ)に魅了され、オシャレな口髭をたくわえてきました。特に19世紀のヨーロッパ、その中でもイギリスでは大きなムーブメントを起こしていました。しかしその髭が、イギリス紳士の日常を妨げてしまっていたのです。

髭とお茶

イギリスといえば紅茶の国です。その時代も、日常的に紅茶を飲む習慣がありました。大きく長い個性的な髭をたくわえたままカップで紅茶を飲むと、紅茶に髭が浸ってしまい、立派にセットしたスタイリングが崩れてしまうという問題が発生したのです。

そこで登場したのが、カップの内側に髭を置くスペースを設けたティーカップです。髭置きの下部には穴が開いており、そこから紅茶を飲むのです。この発明は瞬く間にヨーロッパ中に広まり、海を越えてアメリカでも流行しました。

しかし戦争でガスマスクが付けれないという理由から髭ブームは終わり、自然とこのティーカップも廃れていってしまったのです。