その形相から単なる鬼のような存在であると思われがちな「般若(はんにゃ)」ですが、般若は「嫉妬や恨みを強く持つ女の顔」を表現しているのです。しかもそんな般若は、般若になる前の状態と般若よりさらに進化した状態があるのです。

般若の進化形態

能面の世界では、女の鬼である「鬼女」になるまでの過程のうちに般若があるとされます。憎悪によって角が生えかかり、肉が隆起した状態の表情を「生成(なまなり)」といいます。さらに憎悪が増し、角や牙が生えてくると、私たちのよく知る「般若」となります。

そして般若になってもまだなお憎悪が止まらないとなると、角や牙がさらに鋭くなり、口は耳まで裂け、髪の毛も殆どなくなった状態である「真蛇(しんじゃ)」となるのです。