夏の思い出といえば花火です。打ち上げ花火や手持ち花火など様々ありますが、やはり最後の締めは線香花火に限ります。なんとも言えない儚さを持つ線香花火は、その燃え方に段階があり、それぞれに名前が付けられています。

線香花火の燃え方

火を付けた直後は「蕾(つぼみ)」と呼ばれる段階です。火の玉は数mm程度の小さなもので、プルプルと小刻みに震えます。次に、温度が上昇することによって火薬が液体状となり、火花が発生し始めます。この段階を「牡丹(ぼたん)」と呼び、美しい牡丹の花の様だというところからきています。そしてより一層大きな火花を放っている段階を「松葉(まつば)」と呼びます。直線的に放たれる火花が、松の葉のようだからです。

徐々に火花の勢いが衰え、垂れ下がるような線を描きます。この段階をしだれ柳に似ていることから「柳(やなぎ)」と呼びます。そして火球が燃え尽きる直前の段階を「散り菊(ちりぎく)」と呼びます。花びらをひとつずつ落としていく菊の花のようだからです。

火球が誕生した直後は小さく震えていたものが、徐々に勢いを増し華やかになり、ゆっくりと衰退しいき最後は儚く散る。この線香花火の様子を、人の人生と重ね合わせることもできます。