1890年頃、日本で近代的な地図製作が始まります。そこで、地図上に存在する建物等を表す際に記号を用いるようになりました。この「地図記号」は日本独自の文化というわけではなく、外国(主にドイツ)の地図記号を真似ています。その中でも異彩を放っているのが、お寺を表す「」マークです。

卍の由来

この「卍」マークは、仏教の祖であるインドにおいて使われていた古代インド語「サンクリット語」で「幸福」を表すものなのです。そのことから、仏教やヒンドゥー教では「幸福の印」として使われています。

しかし「卍」は、ヒットラー率いるナチスのシンボルである「ハーケンクロイツ(逆卍)」に酷似していることから、否定的な意見もあります。

実際、2020年に開催予定であった東京オリンピックに向けて、外国人観光客にも分かりやすいよう、国土地理院は15個の新しい地図記号を提案しました。その中に「卍」も含まれており、新たな記号として「三重の塔」を提案しましたが、古くから存在する本来の「卍」そのものを尊重しようという反対意見が多かったため、この変更は見送られることになったのです。