1932年にアメリカで開催されたロサンゼルスオリンピックでは、21競技221種目のスポーツ競技が行われました。その中でミスが起こったのは、3000m障害レースでのことです。

幻の世界記録

トラック7周半の3000mを走る間に、障害を計28回、水ごうを7回越える必要がある障害レースは、見た目以上に過酷なレースとされています。7周半も走らなければならないことから、レースには現在何周目なのかを数える計測係がおり、残り1周になった時点で鐘が鳴らされます。

しかしロサンゼルスオリンピックでは、計測係が近くで競技を行っていた棒高跳びに見とれてしまい、残りの周回数を数え間違えるという珍事が起こりました。そのせいで選手は1周多くトラックを走らされ、結果的に3450mを走らされることとなったのです。

この大会で金メダルを獲得したのはフィンランド出身のボルマリ・イソ=ホロ選手で、もし予定通り3000mでゴールをしていたとしたら、そのタイムは世界記録となっていた計算になります。

オリンピックの舞台での世界記録は幻となってしまいましたが、翌年の1933年に3000m障害で9分9秒4の世界新記録を樹立しました。