その人自身は大したことがなくても、権力者の力を上手く利用して威張ることを「虎の威を借る狐」といいます。この言葉は中国の古事によるものですが、一体キツネはどうやってトラを騙し込んだのでしょうか。

虎の威を借る狐の物語

この言葉の誕生にはある物語があります。

トラはいつものように食料を求め、ある日キツネを捕まえました。しかしキツネはこう言ったのです。「私は天の命により、百獣の王になった。私を食べることは天に逆らう事になる。嘘だと思うなら私の後ろをついて来なさい」と。トラはキツネの後ろを付いて歩くと、他の動物たちは恐れをなして道を開けました。トラは自分が恐れられているのだとは気づかず、キツネの話を信じたのです。

「虎の威を借る狐」が登場する書物『戦国策』を現代語訳すると、こんな感じの文章になります。しかしこの話を聞くと、常に背後に大物が付いていて威張り散らしているイメージの言葉とは大きく違うことが分かります。