「いろはにほへと ちりぬるをーー」から始まる『いろは歌』は、「ん」を除いたひらがな47文字を、一つも重複させることなく作られた歌のことです。いろは歌はひらがなを覚えるための手習い歌として用いられるようになりましたが、現代ではいろは歌の通りの「いろは順」ではなく、主に「50音順」が用いられます。

パングラム

いろは歌の全文は次の通りです。

いろはにほへと(色は匂へど) ちりぬるを(散りぬるを)
わかよたれそ(我が世誰ぞ) つねならむ(常ならむ)
うゐのおくやま(有為の奥山) けふこえて(今日越えて)
あさきゆめみし(浅き夢見じ) ゑひもせす(酔ひもせず)

このような一文字も被らない文章のことを「パングラム」といいますパングラムは本来はアルファベットを用いた言葉遊びのことであり、いろは歌は日本版パングラムといえます。それでは英語版のパングラムとはどのようなものなのでしょう。

最も有名な英語(アルファベット)のパングラムは「The quick brown fox jumps over the lazy dog(ザ・クイック・ブラウン・フォックス・ジャンプス・オーバー・ザ・レイジー・ドッグ)」という文章です。日本語に訳すと「素早い茶色の狐はのろまな犬を飛び越える」という意味になります。

この文章は重複を出来る限り少なくしたパングラムであり、全く重複していないわけではありません。いろは歌のような完全に重複のないパングラムを完全パングラムと呼びます。