扇子(せんす)はメモ帳の代わりだった
あおぐことで風を起こす道具として用いられる扇子。同じ用途で団扇(うちわ)がありますが、ハッキリとした違いは折りたたむことができるかどうかでしょう。扇子は使用しないときは折りたたんでコンパクトな状態にできることが特徴になります。
扇子の歴史
今でこそ扇子は持ち運びに便利な小さな形をしています。しかし最初に登場した扇子の大きさは長さ30cmもある大型のものであり、とても持ち運びが容易なものであるとは言い難い大きさでした。鎌倉時代の遺物としてこの大きさの扇子が発掘されており、この頃の扇子は紙製ではなく、木製の扇子であったことが確認されています。
この木製の扇子は檜扇(ひおうぎ)といい、風を起こすために用いられるのではなく、メモ帳のようなものとして使用されたとされ、冬の扇と呼ばれるようになりました。
その後、平安時代に入ると、現代で使われる扇子の原型となるものが現れ始め、この扇子は風を起こすことを目的とすることから、夏の扇と呼ばれるようになったのです。