福島県伊達市にある松陽中学校、そして同じく福島県伊達市にある桃陵中学校では、メロディーも歌詞も全く同じ内容の校歌が歌われています。唯一の違いは、歌詞にある学校名がそれぞれの校名になっているという箇所だけです。なぜこのような現象が起こってしまったのでしょうか。

学校関係者の熱い想い

この校歌を作ったのは日本を代表する作曲家である古関 裕而(こせき ゆうじ)です。生涯で約5000曲を創り出したといわれ、曲名は知らずとも何かしらのメロディーは必ず耳にしたことがあるでしょう。

当時この地域の中学校は保原中学校の一校しかありませんでした。生徒数が多くなりすぎてしまい、中学校は二校に分けられることになり、誕生したのが松陽中学校と桃陵中学校です。しかし実は地域の予算等の関係から、新しい校舎を一から作られたのは桃陵中学校だけであり、松陽中学校は元の校舎で校名を変えるだけになったのです。

そこで新たに生まれるのが校歌問題です。当然新しい校歌を作ろうという動きがありましたが、分裂する予定のどちらの生徒、先生、保護者も、元の学校の校歌を愛していました。そして校名の部分の歌詞だけを変更するという形で校歌を残して良いかという了承を取り、同じメロディーと歌詞の校歌が両校で歌われることになったのです。