江戸幕府最後の将軍である徳川慶喜(よしのぶ)は、将軍の中で最も長生きした将軍であり、それゆえに慶喜の面白い逸話は数多く残されています。その内の一つが、寝相を矯正するというもの。

強制的な矯正

慶喜は幼少の頃、ひどく寝相が悪かったのですが、しつけに厳しい父はそれを許しませんでした。慶喜が就寝の時間になると、枕元の両脇にカミソリの刃を立てたのです。

どうせ寝ついた頃にはカミソリの刃は片づけてくれるのだろうと思っていましたが、内心はヒヤヒヤしっぱなしであり効果は抜群で、寝相の悪さは次第に直ったといいます。

また、29歳で将軍になった後は、緊張感を保つためという理由で、同じく枕の両脇にカミソリの刃を置いていたとされます。

このカミソリの逸話は側近の書記にも残されており、噂話ではないことが分かっているのです。