膝に肘を付き、拳をアゴの下に当てて何やら考えている様子の、ロダンの有名な彫刻『考える人』。彼は一体何について考えているのか疑問に思ったことはありませんか?

考えているわけではない

実は彫刻の彼は「考えている」のではなく「見ている」のです。元々この彫刻は、詩人ダンテの作品『神曲』をモチーフに制作した『地獄の門』という巨大な彫刻作品のほんの一部にしか過ぎません。

彼自身には特に名前はなく、『考える人』という名前も第三者が勝手に付けた名称とされています。

地獄の門は高さ6m、幅3mの円形で、そこに罪人たちが落ちていく様子が描かれ、彼は門の上に座り込み、罪を犯した人間たちの運命を観察しているという説が有力なようです。

つまり、『考える人』というよりは、『観察する人』の方が正しいと言えるでしょう。