ものの例えで、悪いことをした時には「手を染める」といいます。そして反省したり辞める際には「足を洗う」といいますね。なぜ手を染めたのに洗うのは足なのでしょうか。

今回の雑学ではこの二つの言葉の意味について探ってみました。

「手を染める」とは

手を染めるという言葉を辞書で引いてみると、『物事の始まる。着する。関係を持つ。』と出てきます。つまり手を染めるのは悪いことだけに限ったわけでは無く、全ての物事に対して使われる言葉になります。

元々は「初める(そめる)」という字が起源になります。新年に筆と墨で書き初めをする。これと同じで「初」は「そ」とも読みます。

この「初める」という字が「染める」に変わったわけとして、物事に浸かってしまうと中々抜け出すことが出来ないといった意味から、手を染料で染めると色が落ちにくい、 という意味をかけた言葉になったのです。

「足を洗う」とは

手を染めると同様に、悪事だけに使われる言葉ではありません。何か物事や職業を辞める時などにも足を洗うという言葉が使われます。

この言葉の語源は寺の修行僧が足を洗う場面からきています。

寺の僧は修行のために裸足で外を歩いていました。寺に戻ってくると水で足を洗い流すのですが、この時に汚れだけではなく、俗世間のけがれも同時に清めたといいます。この事から「足を洗う」とは、けがれを清める=悪い事から脱却するという意味合いで使われるようになっていったのです。

最後に

つまりこの二つの言葉の語源は全く別のところから生まれたものであり、対をなす言葉ではありません。手を染めたからといって足を洗ってもおかしいことはないのですが、手は汚れたままですね。

一度その手で犯したあやまちは元に戻せずに汚れたままで生きるしかないという事でしょう。

関係のないはずの二つの言葉が、うまく結びつけれたような気がします。