オーケストラによるクラシックの優雅な演奏はとても心地が良いものです。コンサートで目をつぶりながら演奏に耳を傾けているうちに、いつの間にか寝てしまうことも珍しくはありません。しかしそんな客を叩き起こすための曲があるのです。

驚愕

その曲はオーストリアの作曲家であるフランツ・ヨーゼフ・ハイドンが作曲した交響曲『交響曲第94番ト長調』で、またの名を『驚愕』と呼ばれます。

最弱音で16小節を演奏したあと、打楽器のティンパニが力強く演奏されるという構成で、急な大音量に居眠りをしている観客は驚いて飛び起きることを狙っています。

こうした曲が生まれたのには、単にハイドンが観客を驚かせようとしたわけではなく、当時の観客のマナーの悪さからだとされます。お酒を飲んでからやってくる人も多く、お喋りや居眠りが目立っていました。これをよく思わなかったハイドンは、こんな曲を作って観客を驚かせようとしたというわけです。

実際にその作戦は見事成功しました。それを表すこととして、通称である『驚愕』もハイドン自身が名付けたものではなく、地元の新聞上で名付けられた相性になります。