自分で息を止めて窒息死することはできない
物騒な話をすると、自殺をする方法はいくらでもあります。その中でも窒息死するやり方の選択肢もいくつかあります。首吊りや水を使っての溺死も窒息死の部類といえるでしょう。では物を使わずに、自分の意思だけで窒息死することはできるのでしょうか。
呼吸のメカニズム
人間は無意識のうちに呼吸を繰り返しているように思われますが、脳からの呼吸に対する命令は大きく分けて二種類あります。一つは脳幹にある呼吸中枢からの命令で、無意識で呼吸を繰り返す呼吸です。このおかげで睡眠中でも呼吸をすることができるのです。もう一つは、随意運動(ずいいうんどう)といい、自己の意思によって行われる呼吸です。
随意運動によって故意的に「息を吸い続ける」または「息を吐き続ける」ことを行うと、迷走神経を通じて脳幹に対して「呼吸をしなさい」という命令がなかば強制的に伝わるのです。この呼吸反射は「ヘーリング・ブロイウェル反射」と呼ばれています。
もしも気合と根性だけで息を止め続けたとしても、死を迎えるより先に意識が失われます。すると「息を止める!」という意思は途絶え、ヘーリング・ブロイウェル反射によって自動的に呼吸が再開されてしまうのです。