子どもの習い事の定番といえば「そろばん」という方も多いでしょう。小さい頃にそろばんを習っていた人は、電卓が主流になった現代でも頭の中でそろばんの珠を弾いているという人も多いようです。そろばんでお決まりのフレーズと言えば、計算が始まる前の「願いましては」ですが、これは一体何を願って発しているのでしょうか。

そろばんの歴史

そろばんの発祥は、アステカ起源説、アラブ起源説、バビロニア起源説、中国起源説など諸説ありますが、中国で発展し、日本に伝来してことは間違いありません。室町時代には既にそろばんは使用されていたとされ、江戸時代には寺子屋などで算術の教えとしてそろばんが用いられていました。

この時代、数字は当然漢字であり、文面は縦書きでした。アラビア数字が横に並ぶのとは違い、パッと見て数字が判断しづらく、とても計算しづらかったのです。そのため、そろばんを用いて計算を行う際は二人一組でペアになり、一人が数字を読み上げ、一人がそろばんを弾くという形式が多かったようです。

その際に読み手側は「それでは計算をお願いします」という意味で、「願いましては」と言ってから数字を読み始めていたのです。