カモシカの脚は太い
女性の美しい脚を褒める際の言葉として「カモシカの脚のようだ」と言います。しかし実際のカモシカは、険しい斜面のある山中に生息しているため、お世辞にもその脚は細いとは言えません。では一体なぜ、スラリと伸びた脚の事を「カモシカの脚のようだ」と言うのでしょうか。
カモシカの生態
カモシカとは、シャモア族カモシカ属に属するスマトラカモシカ、タイワンカモシカ、ニホンカモシカの三種類の動物を指します。いずれもアジアの山岳部にのみ生息する動物ですが、日本でカモシカという場合は一般的に唯一日本に生息しているニホンカモシカを指します。
カモシカは元々はレイヨウと呼ばれる動物であると考えられていました。カモシカを漢字で書くと「羚羊」と書きますが、これは「れいよう」とも読むことが出来ます。レイヨウはウシ科の大部分の種を含むグループの総称で、ウシ科からウシ族とヤギ亜科を除いた残りの動物を全てレイヨウと呼ぶことが出来ます。しかしカモシカはヤギ亜科に属しているため、レイヨウのグループには入れないのです。
レイヨウの脚はまさにモデル並みにスラッと伸びており、美しい脚をしています。そのため「レイヨウ(羚羊)の脚のようだ」と称される言葉が、次第に「カモシカ(羚羊)の脚のようだ」と変化してしまったのです。