山梨県にあるキャンプ場に貼られた一枚の掲示物が、インターネット上で話題になったことがあります。それが、一定時間の間にコオロギが鳴いた回数によって現在の気温が分かるというものです。その掲示された数式は「( X + 8 )× 5 ÷ 9 = 気温」というもの。Xには15秒間にコオロギの鳴いた数が入ります。

気温を導く公式

例えば、15秒間にコオロギが30回鳴いたとします。この数式にその回数を当てはめると、算出される数字は21.1であり、現在の気温は21.1℃であるということです。にわかに信じがたいことですが、信憑性はあるのでしょうか?

コオロギは翅(ハネ)を擦り合わせることで音を出しており、その音が鳴き声といわれています。昆虫などの変態動物は、気温どの周囲の温度によって代謝の速度が変化します。温度が高ければ代謝の動きは活発になり、より多くの回数を鳴くことになります。

日本昆虫協会の木村義志によると、この数式は今から30年以上も前に海外で出版された『子どものための生物学』という子ども向けの科学本に掲載されたものだといいます。この数式によって導きだされる気温は絶対的に合っているとは言い難いですが、あくまでも「変温動物は気温の影響を受けて生きている」ということを学ぶのが目的であると、木村氏はコメントしています。