溶いた卵に牛乳を混ぜ、バターをたっぷりしいたフライパンで焼き上げる。パンに染み込んだ絶妙な甘さは、世界中で手軽に作れる朝食のお供として大人気です。その料理名に「フレンチ」と付くくらいなので、フランス発祥なのかと思いきや、全く関係ありませんでした。

フレンチトーストの発祥

フレンチトーストと同様の料理は、名前こそ違うものの世界各国で作られてきました。古いものでは4世紀の終わりから5世紀の初めに書かれた、ローマ帝国時代の料理書にその作り方が載っています。

現在、世界中で一般化されている「フレンチトースト」という呼称については、1724年のアメリカで酒屋の店主ジョーゼフ・フレンチが命名したとされています。ただし、同時期に同様の製法によるものが「ミルクトースト」と呼ばれていたこともあり、この語源が発祥なのかは不明です。

それではフランスでフレンチトーストはなんと呼ばれているのかというと、「パン・ペルデュ(失われたパン)」と呼ばれます。これは、牛乳に浸してパンの良さを失ったという意味ではなく、牛乳に浸すことで硬くなったパンを復活させるという意味が込められています。

結局のところ、フレンチトーストの「フレンチ」はフランスのことではないという事実以外、語源や由来は不明なのです。