「裸の大将」でお馴染みであり、テレビドラマでも人気を博した画家・山下清。テレビドラマでは旅先で様々なことが起こり、最後はそれを絵に残してその地を去る、という感動的なストーリー展開ですが、実際には山下清は旅先で絵を描くことはなかったようです。

旅の目的

山下清は言語障害を患っており、小学校を卒業することなく養護学校へと入学することになります。そもそも山下清が全国を放浪する旅に出ることになったのは、養護学校の生活に飽きてしまったこと、そして当時はまだ存在していた徴兵制度からの逃避でした。逃げることは悪いことではなく、正直な自分を表現する行動と捉えていたのです。

18歳で全国を旅することになった山下清は、様々な地を転々としました。寒くなれば南へ向かい、暑くなれば北に行く。そんな自由な生き方をしていたのです。

数ヶ月間、長い時には数年間の放浪生活から帰った清は、自宅にてその記憶を頼りに絵を描いていました。その驚異的な記憶力は、ごく特定分野に限って優れた能力を発揮する「サヴァン症候群」の症状なのではないかとされ、一種の瞬間記憶能力でないかという見解がなされています。