「ほら、これでも食って一息いれろ」と言われて出される一杯のカツ丼。涙ながらにほうばりながら「私がやりました」と自供する犯人。テレビドラマなどではこうしたやりとりが度々みられます。しかし実際の取り調べでは、カツ丼はおろか、食べ物なんてものは与えてもらえません。

カツ丼が出ない理由

取り調べを受けている段階では、容疑者はまだ推定無罪の状態です。この段階でカツ丼や他の
飲食物を与えてしまうと、精神的に優位に立ち、やってもいない犯行を自供させてしまう恐れがあります。つまりは冤罪を生むきっかけになってしまうのです。

最悪の場合は飲食物を与えた刑事がクビになるほど重大な事態に陥るとのこと。実際に起きたケースでは2006年に埼玉県警所沢警察署の警部が、暴力団関係者である被疑者に「取調室で家族と接見させる」、「被害者の知人が持ち込んだカツ丼を取調室で食べさせる」などの便宜を図り、減給100分の10(3か月)の懲戒処分を受けたましたが、この警部は同日に依願退職をしています。

取り調べ室では食べ物はおろか、飲み物は水かお茶程度しか出されません。留置中の容疑者については専用の弁当が用意されており、留置場での食事時間が必ず設けられているのです。