フランスの首都であるパリは「芸術の都」と称されるように、多くの芸術家を排出し、多くの芸術家に愛されています。パリの代表的な観光スポットといえば、やはり凱旋門とエッフェル塔でしょう。今でこそ立派なランドマークになっているエッフェル塔は、実はその建設は全く望まれていなかったのです。

愛されていないエッフェル塔

1889年のフランス革命100周年を記念してパリで開催が決定された第4回万国博覧会に対して、当時は都市として目玉となるものがありませんでした。そこでコンペディションが行われ、建設が決定したのがエッフェル塔だったのです。しかし多くの芸術家や著名人などから「パリの景観を損ねる」という理由で猛烈な反対がありました。その中でエッフェル塔の建設は強行されたのです。

特に面白いのが、反対派にいた文学者であるギ・ド・モーパッサンのエピソードです。モーパッサンはエッフェル塔1階のレストランによく通っていました。反対派の人間だったモーパッサンがエッフェル塔に足しげく通う様子は、側から見れば完成したエッフェル塔を結局気に入ってしまったのだと見えたでしょう。しかしモーパッサンの考えは違いました。彼はエッフェル塔を視界に入れたくないがために、唯一エッフェル塔を見なくて済む場所であるエッフェル塔の真下に行くようにしていたのです。ここから「エッフェル塔が嫌いなやつは、エッフェル塔に行け」ということわざも生まれたほどでした。