標高8848m、世界最高峰の標高を誇るエベレストは、過酷な登山になることは承知の上ですが、それとは裏腹に年間約400〜800人程の登山者がエベレストに挑戦しています。これほどの登山者がいると、登山道は渋滞を引き起こすそうです。さらに大きな問題となっているのが、ゴミ問題です。

エベレストのゴミ問題

日本の富士山も、登山客の残したゴミが問題となっていますが、エベレストも例外ではありません。

エベレストに挑戦するためには、登山道の入り口となっているネパールのネパール政府から許可をもらう必要があります。その際、下山時には8kgのゴミをエベレストから回収してくることを約束されます。ネパール政府は深刻なゴミ問題に取り組むため、この制約を2013年に設けました。口約束にならぬよう、登山者には前金で日本円にして約44万円を徴収し、ゴミを持ち帰ってきた際に返金される仕組みになっています。ゴミを持ち帰らなかった場合は、1kgにつき約1万円の罰金が課せられます。

約44万円という大金を取り返すため、多くの登山者はゴミを持ち帰る、と思ったらそうではありません。エベレストの登山は想像以上に過酷なものであり、容易に命を落としかねます。それゆえ、登山に必要な装備以外で8kgもの重量を背負うことは、さらに危険に拍車をかけることになります。

環境保全よりも命が大事という考えも理解できなくはありませんが、ほとんどの登山者がゴミを持ち帰らないのが現実です。これに対し、安易に登山許可を与えるべきではないなど、多くの批判的な意見が寄せられますが、ネパール政府にとっては重要な収入源になっていることもあり、上手く折り合いがつかないのが現状です。