江戸川乱歩は結末が思い浮かばずに謝罪したことがある
江戸川 乱歩は日本を代表する小説家であり、特に乱歩の創る推理小説は非常に人気が高くありました。しかしそんな天才作家でも、話の続きが思いつかないこともあるのです。
江戸川乱歩の謝罪
1933年、推理小説の専門誌である『新青年』において、江戸川 乱歩の新作推理小説『悪霊』の連載が開始されました。乱歩が推理小説を書くのは実に2年ぶりのことであり、久しぶりの乱歩の推理小説とあって、ファンは大いに注目を浴びせていました。しかしすぐに連載は中断してしまいます。
乱歩自身が残した謝罪文によると、「抜け殻同然の文章を羅列するに堪えませんので、ここに作者としての無力を告白して、『悪霊』の執筆をひとまず中絶することに致しました」とあります。
実は連載を開始した『新青年』は、乱歩のデビュー作が掲載された雑誌でもあり、恩を感じていた乱歩は依頼を断ることができず、出版社側も人気作家である乱歩を起用し、早く作品を作らせたかったというところから、乱歩は十分な構想を練ることができないまま、執筆を開始することとなってしまったのです。
その結果、面白い展開を書くことができないとして休載され、そのまま乱歩の死によって話の続きは書かれることがなくなり、未完の作品として残ることとなってしまったのです。