土俵のゴミを拾って反則負けになった力士
相撲はとても神聖な競技です。それゆえにいくつかの禁じ手や反則が存在しますが、かつて土俵に落ちているゴミを拾ったら反則負けになってしまった力士がいました。
ゴミを拾ったのが悪いこと?
その力士の名は「朝嵐 大三郎」で、「振分」の年寄の名がついた人物でもあります。問題の取り組みは1968年の9月場所の初日、和晃との試合で起こりました。
相撲の試合開始は「はっけよーい」という行司の合図とともに、お互いの力士が呼吸を合わせ、呼吸が合ったところで開始となります。呼吸が合わないうちは取り組みが開始されませんが、制限時間があるので何度も仕切り直しということはできません。制限時間を使い切ってしまうと「時間いっぱい」となり、取り組みが開始されます。
朝嵐と和晃の試合においても時間いっぱいを使い切り、次は強制的に取り組みが開始されるところまできていました。しかしそのタイミングで朝嵐は土俵に落ちているゴミを拾い、それを捨てるためにいったん土俵から降りてしまいました。この行為が「戦意なし」と判断され、反則負けの判定をくらってしまったのです。
相撲の決まりの一つとして、時間いっぱいの後に土俵を出てはならぬとあるため、ゴミを捨てる行為は素晴らしいことでしたが、この規定に則って反則負けになってしまったのです。