古くは江戸時代に徳川綱吉によって「生類憐れみの令」が発令されました。しかし極端すぎる内容に庶民から大きな反発があったのです。現代日本では1973年10月1日に「動物の愛護及び管理に関する法律」が制定されました。一般的に「動物愛護管理法」や「動物愛護法」と呼ばれる法律ですが、一体どこまでが対象範囲なのでしょうか。

動物愛護法の範疇

この動物愛護法はこれまでに何度か改正され、終生飼養の徹底や罰則の強化などがなされてきました。近年では2019年に改正され、犬猫に所有者の情報を記録したマイクロチップの装着を義務付ける旨の改正が行われました。

日常生活をおくっていると、これは動物愛護法に違反するのでは?という場面に出会すことがあります。例えば夏祭りで定番の金魚すくいがあります。一種の遊び道具にされている金魚に、動物愛護法は適用されないのでしょうか。

まず、動物愛護法の第一前提として「人が占有している(飼育している)動物で、哺乳類・鳥類又・爬虫類に属するもの」が動物愛護法の対象であるとされます。さらに牛・馬・豚・羊・ヤギ・犬・猫・ウサギ、ニワトリ・家ハト・アヒルの11種については、「人間社会に高度に順応した動物」という観点から、人が飼育しているか否かは問われません。

さらには両生類以下の脊椎動物並びに無脊椎動物に関しては、人が飼育していたとしても対象外になります。かと言って故意に傷付けてしまうと器物損壊罪が成立してしまいます。

これらの条項を見る限り、ハエや蚊を殺しても罪にはなりませんし、例に挙げた金魚すくいの金魚たちは、動物愛護法によって保護されているわけではないことが分かります。