ロシアの代表的な料理であるビーフストロガノフですが、レシピ本などで作り方を見てみると、どのレシピにも牛肉が使われています。ビーフと名の付くからには当然の事とは思いますが、実はビーフストロガノフは牛肉料理ではありません。

今回の雑学では、ビーフストロガノフの歴史から本当の意味を紐解いていきます。

ビーフストロガノフの誕生

誕生した由来は諸説ありますが、その中で最も有力な説をご紹介します。

時は18世紀。ロシアの貴族であるアレクサンドル・セルゲーエヴィチ・ストロガノフのために考案されました。晩年のアレクサンドルは大好物であるビーフステーキが食べられなくなってきました。加齢のせいで歯が抜け落ちてきたからです。そこでシェフはビーフステーキの味わいを残しつつ、肉を柔らかく煮込んだ料理を開発し、その料理を「ビーフストロガノフ」と名づけました。

つまりストロガノフとは人名から付けられている事がわかります。料理名に人名が付けられる事はそう珍しいことではありません。

ではビーフステーキを元に開発されたビーフストロガノフの「ビーフ」が牛肉を意味していないとはどういったことなのでしょうか。

料理名は英語ではなくロシア語

当然の事ながら、料理名はロシア語で命名されました。ロシア語で「бефстроганов」と書きますが、この際にビーフの発音はロシアでは「ベフ」と発音します。

この「ベフ」はロシア語で「~風、~流」を意味しており、つまりは「ストロガノフ風」という料理名であることがわかります。

実際にロシアでは牛肉の代わりに鶏肉や豚肉を使ったビーフストロガノフも数多くみられます。