稀に、ワインのボトルの底を見てみると、白ワインではガラスの破片のように見えるものが、赤ワインではそのガラスの破片のように見えるものが赤黒く変色して朽ちた鉄のように見えるものが沈んでいることがあります。

ワインのダイヤモンド

結論から言ってしまえば、これはガラスでも鉄でもなく、人体には無害の物質です。その正体はワインの酸味出している有機酸のうちのひとつである「酒石酸」と、ミネラルである「カリウム」が結合してできた結晶です。この結晶は「酒石」と呼ばれます。赤ワインの場合は、酒石に赤系色素の「アントシアニン」が付着するため、錆びて朽ちた釘のような見た目になってしまうのです。

しかしこの酒石が沈んでいるワインは決してハズレのワインではありません。酒石はクオリティの高いワインにできると言われており、酒石ができると酸味が減って飲みやすくなるという点から重宝がられ、ヨーロッパでは「ワインのダイヤモンド」と呼ばれています。

しかしやはり知らない人からしてみれば見た目には悪くなってしまいますので、グラスに注ぐ場合は酒石が入らないようにゆっくりとボトルを傾けて注ぎ込みましょう。