紫式部といえば『源氏物語』を書いたことで有名な平安時代の歌人、作家です。その実力は平安時代から鎌倉時代にかけて主要な歌人の一人として選ばれ、女房三十六歌仙の一人としても選出されたほどです。歴史や国語の授業などで紫式部を学ぶ機会がありますが、実は紫式部という名前は本名ではないのです。

紫式部の本名

平安時代の貴族にとって、本名で名前を呼び合うのはタブーとされていました。本名は親族や夫婦間でのみ用いられるものだったのです。

そのため、自分の地位を表す官位や、役職で呼び合うことが一般的だったようです。紫式部の場合は、父親の名である式部大丞から名前を頂いた、現代でいうペンネームなのですが、残念なことに未だに紫式部の本名は不明のままとされています。

ちなみに紫式部のライバルとも言える清少納言も本名ではなく、少納言という官位をもとに付けられた名前です。

当時、本名を扱うのはとてもデリケートな時代だったのです。