買い物でお釣りを受け取る際、多く受け取ってしまったという経験をしたことがある人も多いでしょう。素直に「間違ってますよ」と指摘する親切さは大切なことですが、少額ならば面倒がって申告しない場合もあるでしょう。しかしその行為、になってしまうのです。

間違いに気付いたら素直に申告

どの罪に該当するかは、どのタイミングでお釣りの間違いに気付いたかによります。

詐欺罪

詐欺罪は言わずもがな人を欺いて金銭等を騙し取る行為です。お釣りの受け渡しの間違いの場合は、相手を騙そうとする行為は行っておりません。しかし詐欺とは「欺罔(きもう)行為」が発生することで成立します。欺罔行為はイメージと実際に発生した行動の差異で起こる事象によるもので、今回のケースでは「正しくお釣りを渡した」イメージと「間違って渡した」実際の行動の差異がありますので、欺罔行為が発生します。

つまり、お釣りを受け取った時点で間違いに気付いたのに申告しなかった場合は、詐欺罪が適用されるのです。

横領罪

占有離脱物横領罪は、占有を離れたが所有権は放棄していない物を横領した場合に成立します。受け取ったお釣りのうち、多く渡した分は占有は離れていますが、所有権を放棄したわけではありません。

つまり、お釣りを受け取った時点で間違いに気付かなかったとしても、後々になって間違いに気付き、それを放置した場合は占有離脱物横領罪に問われてしまうのです。