粉薬や薬独特の苦味が苦手な場合に、オブラートに包んで薬を服用する人も多いでしょう。この他にもキャラメルやゼリーなどの菓子類にも用いられるオブラートは、意外にも日本発のものなのです。

オブラートの歴史

本来、オブラートとはキリスト教の儀式で使用されているウエハースに似た薄焼きパンのことを指していました。このパンを水に浸して柔らかくし、その中に薬を入れて飲んでいたのです。この頃のオブラートは硬質オブラートと呼ばれ、現在のように薄い膜のようなオブラートではありませんでした。

この硬質オブラートは明治時代に日本に伝えられ、1902年には三重県在住の医師・小林政太郎が、寒天とデンプンから現在のような柔軟オブラートを生成する方法を発明したのです。しかしこの当時はまだ完璧な仕上げにはいたっていませんでした。柔軟剤を添加しなければならないために大量生産ができなかったのです。

1922年になり、乾燥機を用いた生産方法が確立されると、一気に大量生産が可能になりました。現在のオブラートもこの方法を用いて作られています。

日本一の生産数を誇るのが北海道は倶知安(くっちゃん)町にある伊井化学工業です。この地はジャガイモの大生産地としても知られ、そのデンプンを使ってオブラートが作られています。