かつて日本の首都は広島だったことがある
首都はその国の中心となる都市のことを指します。日本の首都は東京都であることは一般的に知られていますが、実は現在は日本の首都をどこにするかを言及している法令は存在しません。あくまでも“事実上”東京都が首都になっているというだけなのです。しかしかつては東京都から遠く離れた広島県が、日本の首都だった時代があるのです。
広島が日本の首都?
1894年、日本と清(大清帝国)の間で戦争が勃発しました。有名な日清戦争です。この際に最高司令部としての機能を持つ「大本営」と呼ばれる日本軍の最高統帥機関を広島に設置しました。戦争開始から二日後には、戦争指揮のために明治天皇も大本営に移りました。1894年10月に招集された第7回帝国議会は、この大本営の設置に合わせて広島の広島臨時仮議事堂で開会されました。
これにより、国を動かすための「立法」「行政」「軍事」の最高機関が広島に集結したことで、日本の首都は一時的ではありますが広島に移ったのです。こういった首都のことを「臨時首都」または「暫定首都」と呼びます。
この大本営は日清戦争集結から約1年後の、1896年4月1日に解散しました。
残された大本営跡地は、史跡への指定や一般公開などもされましたが、1945年に広島市への原爆投下によって壊滅してしまいました。現在、その地には石碑が残されているのみとなっています。