個人タクシーは死亡事故によって生まれた
日本にタクシーが登場したのは1910年代のことです。その49年も後の1959年に個人タクシーが登場しました。正式には「1人1車制個人タクシー事業」といい、法人タクシーと違って1人が1つの車両を用いて経営する事業のことです。この個人タクシーの誕生には、一人の青年の死が大きく関係していたのです。
個人タクシーの誕生
1950年代にもなると、世間は急速に自動車社会へと変わっていきます。すると街のあちこちでは渋滞が起こり始めます。しかし当時のタクシー運転手は歩合制・ノルマ制がほとんどであり、時間内に一人でも多くの客を乗せようとするタクシードライバーが急増しました。
スピード違反は当たり前で、急停車、急発進、信号無視、強引な追い越しなど、危険な運転行為が日常的に行われていたのです。このことから「神風タクシー」の異名で呼ばれるようになります。
そして1958年に神風タクシーによる人身死亡事故が発生してしまいます。死亡したのは東京大学の学生で、この事件がきっかけで交通安全が社会問題となり、警察の激しい取締り等により神風タクシーは姿を消すこととなります。
翌年の1959年に、優良ドライバーに対して個人タクシーの営業許可が与えられ、個人タクシーが誕生したのです。