今では乗り物にタイヤという発想は当たり前の事ですが、その誕生と普及の背景にはどういったひらめきがあったのでしょうか。

誕生は病気がヒント?

今のようなタイヤが作られるまで、タイヤと呼ばれるものは非常に乗り心地の悪いものでした。それもそのはず、今のように空気が入っていなかったのです。フレームとなるパーツに直接ゴムを巻いただけのお粗末なものでした。道路もキレイに舗装されているわけでもないので、乗り心地の悪さに拍車がかかっていました。

これを改良したのがタイヤメーカーで世界的に有名なダンロップの創始者、ジョン・ボイド・ダンロップです。彼はその道になんら関係のない職業をしていました。それはなんと、獣医です。牛の腸にガスが溜まってしまう病気である「鼓腸症(こちょうしょう)」を見て、タイヤと腸の形が似ていることに気が付きました。

以前から息子に「自転車をもっと乗りやすくして欲しい」と言われていた彼は、これをヒントにタイヤの改良に成功したのです。これを機に、空気入りタイヤの特許を取得し、翌年の1889年にダンロップを設立します。

空気入りタイヤの普及

空気が入ったことで乗り心地や速さが向上したタイヤですが、その完成度はまだまだでした。一度パンクしてしまうと、修理に何時間も必要だったのです。

この不便さを改善したのが、フランスのミシュランなのです。

ミシュランは短時間で修理が可能なフレームとタイヤを考案し、その勢いで今で言う自動車のタイヤ製造にも成功しました。ミシュランが自動車のタイヤ製造に進出した理由は「タイヤが4つなら、売上が2倍になる」という理由からだと言われています。