福沢諭吉はお札の肖像画にもなるほどの人物ですから、当然数々の功績を残しています。その内の一つに、私たちが使う日本語の発展もありました。今では当たり前のように使われている「」という文字と発音。これを最初に考案したのが福沢諭吉といわれているのです。

ヴの発案者はいったい誰なのか

1860年、英語と中国語の対話単語集である『華英通語』を和訳した『増訂 華英通語』を福沢諭吉が出版しました。この際に、英語の「V」を発音するために用いたのが「ヴ」だったのです。このことは『福澤全集緒言』にも記載されています。

しかしこの本を出版する100年以上も前、新井白石の書いた『東雅』には既に「ヴ」という文字が登場しているのです。

では福沢諭吉が嘘を語っているのかというとそうではありません。あくまでも英語の「V」を「ヴ」と発音することを発案し、世間に広めたのは間違いなく福沢諭吉であるといえます。

ちなみに、同様に「ワ」に濁点をつけた「ヷ」という発音も考案しましたが、こちらは全く世間に浸透しませんでした。