行きていく上で食事を欲する限り、虫歯などの口内環境との問題は切っても切り離せません。それは私たち人間だけでなく、ペットとなるイヌやネコも同様です。しかしこれまで、ネコが虫歯になったという報告は一件も挙がっていないのです。なぜネコ虫歯にならないのでしょうか。

なぜ虫歯にならないのか

歯の噛み合わせのことを「咬合(こうごう)」と呼びます。人間や犬は雑食であることから、食べ物をすり潰して食べる方法をとっているため、特に奥歯がすり鉢状の形をしています。これを「すり鉢状咬合」といいます。

一方のネコは、元来肉食系の生き物ですので、肉を切り刻んで食べられるように、全ての歯が尖っています。その噛み合わせがハサミの刃のようなことから、これを「ハサミ状咬合」といいます。

「すり鉢状咬合」ではどうしても歯のくぼみなどに食べ残しが溜まりやすいのですが、「ハサミ状咬合」ではその問題は起こりづらいのです。これがネコが虫歯にならない要因の一つです。

次に挙げるのが口内環境です。虫歯菌は酸性の環境でないと繁殖しにくいとされます。人間やイヌは口内環境はpH6.5~7.0で弱酸性ですが、ネコの口内はpH8.0~9.0でアルカリ性に保たれています。これでは虫歯菌が繁殖できません。

歯の黒い部分は何?

虫歯になると歯が黒くなるという印象があります。それは間違いではないのですが、虫歯でなくとも黒くなってしまうことがあります。例えば歯が欠けてしまったり、歯石が溜まってしまったりした場合です。

ネコの場合、人間よりも歯石ができるまでに要する期間が短く、それが原因で簡単に歯周病になってしまうのです。なんと3歳以上のネコの8割が歯周病といわれています。

虫歯にはならないネコですが、ケアをしなくてもいいというわけではありません。ペットとして飼っている方は、定期的な検診を受けてあげましょう。