イモガイと呼ばれる貝は、日本では四国や九州、特に沖縄では約110種類を超える種が生息しています。いずれの種も貝殻や模様が美しく、浜辺など人間が足を踏み入れやすい場所にも生息しているので、多くの場合は発見するとつい手に取ってしまう人が多いようです。しかしこの貝は非常に強力な毒を持っています。

イモガイの毒性

イモガイを手で持っていたりすると、外敵と判断されて攻撃されてしまいます。その攻撃方法は特殊であり、歯舌が発達したモリのような形をした針を撃ち込んでくるのです。この針には毒が塗ってあり、イモガイ一体に含まれる毒は30人分の致死量に相当するとされます。

刺された直後は全く痛みを感じず自覚することは難しいですが、その後しばらくすると患部に激痛が走り、痺れ、腫れ、めまい、嘔吐、発熱といった症状が出ます。特に症状が酷くなると、視力や血圧の低下、全身麻痺、さらには呼吸不全により死に至ります。イモガイの毒には抗毒血清が存在せず、毒が体内で代謝され抜けきるまで生命を持ちこたえさせることが唯一の救命策なのです。